播州書寫山縁起絵巻
播州書寫山縁起絵巻
期間限定特別公開

〈摩尼殿 国重要文化財指定記念〉書寫山圓教寺 寺宝「播州書寫山縁起絵巻」特別公開と絵解き説法

播州書寫山縁起絵巻より
標高371mの書写山山上に自然と共生する荘厳な大伽藍が広がる古刹、書寫山圓教寺。寺宝として伝わる長さ約23mの絵巻「播州書寫山縁起絵巻」が特別公開されます。寺の開祖である性空上人の誕生から入寂までの情景が描かれた絵巻を絵解き説法とともに鑑賞いただけます。

特別公開と絵解き説法

20247.1(Mon)−8.11(Sun)/8.18(Sun)−9.30(Mon)

会 場/書寫山圓教寺 食堂じきどう

特別公開/9:00〜16:30、絵解き説法(僧侶によるリアル解説)11:00、13:00、15:00の3回(約1時間)
料金/2,000円 *別途、志納金が必要です
*絵巻の観覧のみも可能です。(約30分の動画解説有)料金/1,000円

天人桜を礼する図

書寫山圓教寺 食堂(じきどう)

食堂

播州書写山縁起
山陽道餝磨の西の郡に書写山円教寺といふ霊刹あり。
開山は性空上人とて、現に六根清浄の徳を証し給ふ聖者なり。
勅として悉地菩薩と号す。

姫路市書写にある天台宗別格本山(西国三十三所第27番札所)書寫山圓教寺。寺宝である「播州書寫山縁起絵巻」には、昨年国の重要文化財に指定された摩尼殿(如意輪堂)建立の由来の情景も描かれています。

会場となる食堂じきどうは後白河法皇の勅願により建立。現在の建物は室町時代に建てられ、映画「ラストサムライ」のロケにも使われた国指定重要文化財。仏堂としては、国内最大の総2階建てです。
別名「長堂」と呼ばれる横に長い食堂の空間を生かして、長さ23メートルに及ぶ「播州書寫山縁起絵巻」を一挙に公開します。
圓教寺の開祖である性空上人しょうくうしょうにんの誕生から入寂まで、上人の奇蹟と都の貴顕との交流の物語を、僧侶による絵解きで絵巻を鑑賞いただけます。

《御朱印》絵巻にちなんだ特別御朱印は摩尼殿と食堂で授与

絵巻にちなんだ特別御朱印は摩尼殿と食堂で授与

絵巻イメージ

ライブでの絵解き説法は一日3回、11:00、13:00、15:00(質疑を含めて約1時間)
その他の時間は9:00〜16:30まで開堂中、動画解説付きで観覧できます。
尚、動画解説はご帰宅後もご覧いただけます。

圓教寺×隈研吾 生き延びるためのデザインワーク−これからの用の美

20246.16(Sun)−12.1(Sun)

会 場/書寫山圓教寺 三之堂前広場

料金/無料(別途、志納金が必要です) 時間/10:00-15:45 会期中無休(天候により中止になる場合があります)

パビリオン《くぎくも》イメージ

パビリオン《くぎくも》イメージ

「西の比叡山」とも称される書寫山圓教寺。
この名刹を代表する「三之堂」と「摩尼殿」に触発された世界的建築家・隈研吾が、パビリオン《くぎくも》を制作・展示します。さらに、圓教寺の開基・性空上人と和泉式部の出会いの逸話をもつ「はづき茶屋」が、人々の憩いの場としていっそう親しまれるための将来像も描かれます。隈は、粒子や細胞のように小さな単位が集まったり離れたりすることで得られる生物的な「流れ」や「しなやかさ」を、大切なテーマのひとつにしています。《くぎくも》は、「散逸構造」と呼ばれる化学理論を手掛かりに、こうした考えを視覚化しています。
1,000年を超えて守り育まれてきた圓教寺の偉大な歴史と遺産。それらとの対話を通じて隈が示す建築の未来は、我々が現在を生きるための多くの気づきを与えてくれるでしょう。

隈研吾氏によるアーティストトークより

姫路は「建築の聖地」だと思っています。
有名な姫路城はもちろんのこと、この圓教寺もまた建築においては聖地と言ってもいい特別な場所です。
ここで展覧会を行う以上、建築の聖地に恥じないものをやりたいと思っています。

姫路市立美術館からこの企画に招かれて以来、姫路の建築には、何か共通する「質」のようなものがあるのではないかと色々考えておりました。
改めて姫路城を訪れたり、圓教寺さんを何度も訪れて色々なお話を伺うことを通じて、その特質はある種の「やさしさ」ではないかと考えるようになりました。
建築における「やさしさ」とは何かと言いますと、人間のスケールに近い(ヒューマンスケールな)ものがたくさん集まって建築物を作っているということです。こうした特徴が姫路の建築文化に共通してあるのではないかと考えています。

たとえば姫路城。お城はヨーロッパにもたくさんありますが、厳ついんですね。“どうだ!城だ!”という感じです。姫路城は違います。皆さん、姫路城というと天守閣をパッと思い浮かべると思いますが、姫路城の天守閣は小さい屋根が寄り集まってできている。それらひとつひとつの屋根のスケールは決して大きくはないんです。ヒューマンスケールな屋根、まさに皆さんの普通の家にもある屋根、そういうスケールのものが寄り集まって、独特の美をつくっている。独特の象徴性をつくっている。そういうところが、世界の城の中でも特異な城として皆さんから愛され、世界中から多くの人が来訪する理由ではないかと思います。

同様の性格が、圓教寺さんの建築にもあると思っています。ちょうど目の前にある大講堂を例にします。この大講堂は、庇(ひさし)の下の枓栱(ときょう)が非常に特徴的なんです。枓栱は、柱の上に乗っかって庇を支えるものです。大講堂の枓栱は、ひとつひとつは非常に小さいのですが、その集まり方がとてもバランスがとれていて、集合体として全体に迫力を作り出しています。小さいものが集合して迫力を作り出している点が特徴です。
木造建築はもともと中国から伝来しているのですが、日本と中国の建築は作り方が違います。中国は日本よりも柱を太く強調して“どうだ!”って感じなんです。奈良の東大寺などは国の中心にある建築物なので、大きな柱で“どうだ!”っていう印象が必要なのですが、圓教寺さんの建物の柱の表現はむしろ控えめです。
枓栱もまた、中国から伝来してきたものです。なぜ枓栱が発明されたかというと、東アジアは雨が多いので、屋根を持ち出して雨よけを作りたいわけです。ただ、持ち出した先端に柱を作ってしまうと、雨で柱が腐ってしまいますから、なるべく柱は奥に置いて長い持ち出しを作る。これを建築用語でキャンチレバーというのですが、この大講堂は特にキャンチレバーが長い。そこに枓栱をバランスよく、たくさん配置することでキャンチレバーを美しく見せています。日本では柱より枓栱の方が発達してくるので、柱が控え目で枓栱とキャンチレバーが特徴的な圓教寺さんは、日本的な美を極めている建築だと思います。日本的な、やさしくて慎み深い性格-建築の世界ではhumble(謙遜している)なといいますが、そういう感じが圓教寺さんの建築の特徴だろうと思います。

こうした圓教寺さんの建築の特徴が何に由来しているのだろうと考えるに、やはり性空上人が都から離れて播磨の地で、自然の中にこのお寺をつくったということが関係あるのではないかと思います。都の建築というのは、やはりどうしても象徴性とか権威主義というのが重要になるので、日本の建築ですら柱がドーンとした感じになるんですが、圓教寺さんはそのような象徴性・権威というのを上手にhumbleなかたちに変換していった。そういった都からの絶妙な距離というものが姫路の性格をつくっているのではないかと思っています。

摩尼殿もそういう性格の延長線上にあります。
摩尼殿もやはり枓栱の表現がすごく綺麗なんです。枓栱による持ち出しが非常に特徴的な表現になっています。
設計者の武田五一先生がどのような建築家だったかについてお話します。彼は東京帝国大学の建築の教授であった辰野金吾先生の弟子で、京都帝国大学の建築学科を創立した建築家です。辰野金吾先生は日本の近代建築をつくった人と言われておりまして、東京駅や日本銀行の設計をするなど、日本の権威・権力の中心にいた方ですが、武田先生は辰野先生とは少し性格が違いました。辰野先生はある種の権力主義的・権威主義的なドーンとした建築を作るのが非常に巧みで、明治の時代にそのような建築を作るという使命があったわけです。武田先生は対照的にもっとやさしいもの、人間的なものに目を向けた建築の考え方を、京都で始めるわけです。そういった考え方は、いまなお関西に受け継がれていると言われていますが、その源流は武田先生です。

武田先生は人間だけでなく技術にも目を向けて、技術というものが人間にとって欠かせないということを特に強調しています。今年1月に国の重要文化財に指定された摩尼殿も、柱の支え方など非常に伝統的な建築に見える一方で、新しい技術的な工夫がたくさんあるところが評価されているわけです。武田先生は茶室の研究も始めています。東大の建築の人々は茶室を研究の対象としませんでした。あれは趣味の世界で小さすぎるというわけです。建築とは基本的に、奈良の東大寺のようにドーンとした権力の象徴であるという考えで、そういった建築しか教えていませんでした。それに対して武田先生は、ヒューマンなものに目を向けて茶室の研究を始めた。大変なヒューマニストであったわけです。そのような武田先生が圓教寺さんと出会ったということも、なにか必然性を感じて大変おもしろく思っています。

今回、圓教寺さんのような建築の聖地、しかも人間とつながって自然とつながっているヒューマンな建築の聖地にパビリオンを制作するからには、こうした性格を象徴するものにしたいと考えました。そこで見つけたのが、明珍宗敬(明珍家第53代当主)さんが制作する和釘です。明珍さんの工房にも実際にお邪魔しましたが、実際に和釘を制作している現場の何とも言えないヒューマンな感じ、大工場とは違う、人間が技術を使って作っていることが伝わってきて感銘を受けました。

和釘というのもある意味で姫路の性格とつながっていると思います。「小さなものをジョイントする」ということです。これはコンクリートとは対照的なんですね。小さなものをたくさん組み合わせて作るという木造の考え方とは対照的に、コンクリートにはジョイントとか部品とかいう考え方はなくて、ただダーっと流しちゃえばいい。それは20世紀の工業化社会において、大きいものを早く作るにはどうすれば良いかという要請に応えるものだったわけです。木造や姫路的なものの対極にコンクリートがある。小さなものをジョイントするシステムをどんどん磨いてきた姫路という場所に明珍さんの和釘があるということは本当に素晴らしいと思います。

また。和釘は柔らかいんです。柔らかいというのが日本のジョイントの特徴です。地震国である日本では、ジョイントもそれに追随して柔らかくないと耐えられません。しなやかで柔らかいジョイントというのが地震国である日本で育って、和釘はそのひとつの極致なんです。
柔らかい和釘は建物の柱や梁を固定するときも、中に固い節があるとそれを微妙に避けて、和釘の方がかたちが変わるんです。コンピューターの時代でも曲がる曲線はなかなか書けないのに、はるか前にそのような曲がるジョイントを作っていて、建物ができたあともしなやかに色んな動きに対応できる。木というのは乾燥によって少しずつ寸法が変わりますから、そういうときにも和釘は柔軟に対応できる。和釘は本当に世界に誇れるものだと思います。

その和釘を主役に使いたい。
ただ、釘って普通は見えません。姫路城の天守閣にも明珍さんの和釘が大量に使われているということですが、皆さん見えないですよね。これを見えるように和釘を使うというのが、今回のパビリオンの最初の起点でありました。せっかく素晴らしいのにもったいない。そこで、透明なポリカーボネート製のパイプを和釘でとめていくというパビリオンをつくりました。名前は《くぎくも》。全体が雲のように柔らかいイメージになっています。小さなものを柔らかいジョイントでとめていくという、日本的・姫路的な技術の象徴として制作したいと思ったわけです。和釘にかかわらず、おそらくこういうかたちで釘を可視化した建築物というのは世界でもこれまで無かったと思います。
構造計算は日本女子大の構造の教授である江尻憲泰先生にお願いしました。江尻先生と私は色々なところでプロジェクトを一緒にやっています。江尻先生は日本における国宝や重要文化財の耐震補強の第一人者です。江尻先生は、現在の技術(カーボンファイバーのように軽く細いもの)を使って、目に見えないかたちで建物を強くすることをされています。

小さいものをやさしく組み合わせていくというのは、「生き延びるためのデザイン」という今回のテーマとも深く関係しています。小さいものをうまく組み合わせ生き延びてきたというのが、日本の文化の特質だからです。国の威信や権力のためには“どうだ!”というような巨大なものが必要とされたわけですが、人間の生活のためには小さいものをうまく組み合わせて、あとで色々変化がおきたときにそれに対応できるようにしていくという考え方が重要で、そういう考え方と姫路が育んできた文化というのは非常につながっていると考えています。また、時代が移り生活も変化していくなかで、フレキシブルに対応していくことが「用の美」の本質だと思いますので、このタイトルは姫路にとってピッタリのテーマだと感じています。

昨年度のオールひめじ・アーツ&ライフ・プロジェクト招聘作家であるチームラボの猪子さんと、この前に話をしました。この猪子さんとの対談は、つい最近に発行された展覧会カタログに掲載されています。粒子が大きな自然界の基本になっている、小さな粒子が色々なものに一番柔軟に対応する、固くて大きなものよりも小さくて流れ続ける粒子の方が強いんだ、そういうものが生物を生き長らえさせてくているんだ、という話で盛り上がりました。そのなかで我々は「散逸構造」ということばを使っています。流れ続けていく生物の原理みたいなものが我々の地球を支えているんだという話なんですが、これは僕らが学生の頃にイリヤ・プリコジンという研究者がノーベル化学賞をもらった理論です。1970年代当時、僕ら建築の学生は、いざどうやって建築に応用できるのかわからないままに散逸構造は未来だ、おもしろいと思っていたものです。猪子さんは僕よりちょっと若いですが、猪子さんも散逸構造という理論がアートとどのようにかかわるか最初はわからなかったらしいです。現代の技術、たとえば解像度が非常にいい映像がつくれるとか、建築でいえば、小さな粒子をうまく組み合わせる技術によって、70年代には物理や化学の発明でしかなかったものが、日常の生活に入ってくるようになったと言えるのではないかと思います。そういった新しい技術と新しい生活の結びつきというのが、我々の前にすでにある。新しい生活と非常に相性のよい姫路という場所で、そういったものをアートや建築というかたちで展示して皆さんにお見せすることができるというのは、時代の大きな必然だという気がしています。

この姫路での展覧会のシリーズは、姫路という場所にとってもピッタリだし、非常に困難な今の時代に、それでも我々は生き延びなければならないという状況にとってもピッタリのシリーズだと思います。
ぜひ世界の方に来てみていただきたいなと思っています。

主 催 書寫山圓教寺、姫路市立美術館
協 力 隈研吾建築都市設計事務所、明珍本舗、東京大学総括プロジェクト機構、SEKISUI HOUSE-KUMA LAB、日本女子大学 建築デザイン学部、江尻憲泰研究室
問合せ 姫路市立美術館 TEL.079-222-2288
後 援 朝日新聞姫路支局、神戸新聞社、産経新聞社神戸総局、サンテレビジョン、播磨時報社、播磨リビング新聞社、姫路ケーブルテレビ、姫路シティFM21、毎日新聞姫路支局、読売新聞姫路支局、ラジオ関西(50音順)

《 神姫バス 》
「しろのまちめぐり2DAYきっぷ」を発売中!姫路城、美術館、書寫山圓教寺をお得にめぐるセット券。詳細は《こちら》でご確認ください。

  • ひょうご観光本部
  • 公益社団法人姫路観光コンベンションビューロー
  • JR西日本
  • 兵庫テロワール旅
  • オールひめじ・アーツ&ライフ・プロジェクト
  • 姫路市立美術館
  • ロープウェイ山麓駅まで
    JR山陽電鉄 姫路駅バスターミナル⑩乗場から神姫バス「書写山ロープウェイ行」で終点下車
  • ロープウェイ山麓駅から
    山上駅下車 *8:30より毎時00分・15分・30分・45分出発 志納所からマイクロバスで「摩尼殿下」下車(志納所から「摩尼殿下」までは徒歩でも移動できます。)
  • 摩尼殿下から
    三之堂まで徒歩

書寫山圓教寺 MAP

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天台宗別格本山 西国二十七番札所 書寫山圓教寺

〒671-2201 兵庫県姫路市書写2968
TEL.079-266-3327
http://www.shosha.or.jp/

  • 入山志納金として中学生以上500円、小学生300円を申し受けております。
    ロープウェイ(往復1,200円)、山上駅から摩尼殿までは、西国三十三観音像を配置した参道を歩いて約1キロ、15~20分の道のりです。
  • 志納所前から摩尼殿の下まで、シャトルバス(往復500円)も運行しています。
    特別志納金500円で往復ご乗車いただけますので、どうぞご利用ください。
  • ロープウェイをご利用の方のための無料駐車場が書写山麓駅横にあります。